ポルトガルワイン情報
ポルトガルワインの産地・生産者情報
ポルトガルワインの産地と生産者の情報をまとめました。
ポルトガルの主なDOP(原産地統制名称ワイン)をご紹介します。
VINHO VERDE (ヴィーニョ・ヴェルデ)
ポルトガル北部を流れるミーニョ川一帯に広がるブドウ栽培地区。北のスペイン国境と東のポルト・ドウロ地区とは1,000mを超える山々に囲まれ、西は大西洋の暖流に恵まれています。雨量が比較的多く、夏涼しく冬暖か。緑深い森林と連なるブドウ畑が美しく、「コスタ・ヴェルデ(緑の海岸)」とも呼ばれています。この地方で有名なヴィーニョ・ヴェルデとは「緑のワイン」という意味。花崗岩の土壌に育まれた酸に恵まれ、微炭酸を含む若々しいフレッシュな軽い風味が特徴の爽やかなワインです。
PORTO, DOURO (ポルト、ドウロ)
DOPポルトは世界ではじめて原産地管理法の指定を受けた地域でポートワインの産地として有名です。西のヴィーニョ・ヴェルデ地区とは1,000mを超える山々で遮られているため大西洋からの湿った空気が遮断され、夏冬・昼夜の気温差が大きい地域です。乾燥した丘陵地帯にドウロ川とその支流による渓谷を利用したブドウ栽培がおこなわれ、その景観は素晴らしく世界遺産にも指定されています。ポートワインのブドウ畑は、「カダストロ」という厳しい格付け(場所・標高・傾斜・地層などの土地条件と収量・品種・密植度・仕立て・樹齢などの栽培条件による格付け)に基づき管理されています。
DOPドウロは、DOPポルトと同地域を指しています。この地域で栽培される赤・白ワインが対象です。 赤ワインは乾いた土地の中で果実が凝縮するイメージを連想する力強い熟成感と深い果実味があります。 後味もしっかりしており骨太な印象を受けるワインです。 国内外から多くのファンを獲得しており、なかでも、ドウロ川上流域にてブドウ生育の秀逸な年にしか生産されない「バルカ・ヴェーリャ」と呼ばれる銘柄は、「伝説のワイン」として珍重され、「ポルトガルのペトリュス」との異名を持ちます。 白ワインは辛口ながらしっかりとした果実味のあるワインが造られます。 香りは繊細でややハーブのニュアンスがあります。 カラカラに乾いた南風が吹く大地を想起させるドライな白ワインです。 赤ワイン同様、白ワインも多くの支持をうけています。
DAO (ダン)
ポルトガル中央部、Viseu(ヴィゼウ)を中心とするDOP。 周囲を山々に囲まれた標高200~700mの盆地で、ダン川流域にブドウ園が広がっています。 冬夏の気温差が激しく、夏は高温となるため糖度の高い良く熟した果実が得られます。 ワイン生産量の8割が赤ワインで、力強いワインが造られます。 特にトウリガ・ナショナル種によるワインは、色が濃く、タンニンが充実し、エレガントな仕上がりです。 白ワインは、ビカ、マルヴァジア、エンクルザードなどのブドウ種が用いられ、生産量こそ少ないものの、香りが高くフレッシュで軽やかなワインとなっています。 ダンのワインは、ポルトガルを愛した作家・壇一雄が自分の名前と似ていることから愛飲したことが有名で「赤・白のダンを何百本抜いたのか、おそらく莫大な数量にのぼっただろう。」と書き残しています。 ダンワインが世界に知られるブランドとなったのは、1900年「パリ万博」でのできごと。 ダンの小さなワイナリーが造ったワインがワイン品評会で金賞を獲得し、一躍有名ブランドになりました。
BAIRRADA (バイラーダ)
ポルトの南、コインブラの北に位置するDOP。約40kmにわたって緩やかな丘陵地帯にブドウ畑が広がっています。 この地域は海岸から僅か20km程度と近く、土地は粘土質で石灰岩が混じっています。(バイラーダという地名も粘土=BARROに由来します。) 大西洋からの風を受けダンに比べて冷涼ですが、夏は乾燥するので力強いワインが生産されます。 赤ワインは「バガ」という小粒で色の濃い品種から造られ、タンニンが印象的なしっかりした味わいで、色も濃厚です。 「バガ」種のワインは、若いうちはイタリア・ネッビオーロ種のワインのように充実したタンニンによる力強さがあり、熟成が進むとピノ・ノワールのようなエレガントさが備わってきます。 白ワインは、「マリアゴメス」種などから造られ、辛口で果実の風味を感じる新鮮でフルーティな印象が特徴の軽やかなワインです。 隣接する丘陵地には「ブサコの森」という森が広がっています。 その森の中に王の猟館がひっそりとたたずんでいます。 いまは五ツ星ホテルで、ここで造られる昔ながらの足踏みで破砕発酵させる自家製ワインは評判です。 世界中のワイン通たちがわざわざ足を運んで飲みにくるそうです。
RIBATEJO (リバテージョ)
テージョ川流域に広がるDOP。年間降水量は500~600mmと少ないです。 この地方でのワイン造りは2000年くらい前から行われてきましたが、DOPへの昇格は2000年とつい最近のことです。 闘牛が盛んな地域で、牧畜も盛ん。 タンニンのしっかりしたフルボディでフルーティな赤ワイン、辛口でドライな白ワインを産出します。
ALENTEJO (アレンテージョ)
ポルトガル南部のDOP。 「デージョ川の彼方」という意味を持つこの地方は、緩やかに起伏する丘に麦畑が広がるポルトガルの穀倉地帯です。 ローマ時代に城塞都市として誕生したエヴォラという街があり、ポルトガルの全盛期に栄華を誇りました。 その美しい街並みは世界遺産に登録されています。 権力の集まるところ良質なワインが生まれるといわれますがこの地方もそうです。 散在する小規模なワイナリーは良質で個性的なワインを造ることで知られ、ワイン・マニアの間では「ポルトガルの隠れた最大の宝」と高く評価されています。 この地方は日照時間が長く、ブドウは太陽の恵みを沢山に受けます。 赤ワインはまろやかでフルーティな味わいと十分に熟したブドウの色を想わせる濃い色合いが特徴です。 白ワインは、フレッシュで適度なコクと厚みを持つワインが造られます。
MADEIRA (マデイラ)
リスボンから南西1,000kmの大西洋上に浮かぶマデイラ島で生産される酒精強化ワインをマデイラと呼んでいます。 17世紀にマデイラ島で積み込まれたワインが酷暑の赤道を横切ると独特なフレーバーを持つことが知られるようになったのがきっかけです。 18世紀より酒精強化が開始され、また、島内で加熱熟成する工程も始まりました。 酒精強化にはグレープスピリッツを用います。 酒精強化後、ヴィンテージワインや10年・15年など熟成期間が表記されるワインは「カンテイロ」と呼ばれる太陽熱を利用した天然の加熱熟成が行われます。 加熱と酸化を繰り返す工程で生産されるので、開栓によってもそれ以上酸化が進まず、長く風味を楽しむことができます。