ニュイ・サン・ジョルジュ (Nuits-Saint-Georges)
逞しく男性的なワインが生まれる
「ニュイ」はフランス語の「夜」 (Nuit) という意味ではなく、「胡桃の木」を意味する古語に由来する古くからの地名であり、そこに、最も重要な区画である「レ・サン・ジョルジュ」 (Les Saint-Georges) の名前を付けて「ニュイ・サン・ジョルジュ」という村名になったと言われています。
コート・ド・ニュイ最大の街で、老舗のフェヴレや最大企業のボワセなど多くのメゾンが本社を構え、人通りの多い活気のある街です。
フィロキセラ禍以前は、ネゴシアンの拠点として、ボーヌの良きライバルであった街であり、現在でも郊外にはワインの瓶詰め工場が立ち並び、ボーヌに次ぐブルゴーニュ・ワインの中心地です。
ニュイ・サン・ジョルジュは、赤ワインの生産比率が98%で、白ワインの生産はごくわずかです。
ニュイ・サン・ジョルジュの赤ワインは、「ブルゴーニュのなかでも最も豊かなタンニンと豊満さが溶けあっていて、逞しく男性的。バランスが良く、がっちりした骨格を有する。肉付きがよく堅固なワインで、余韻が長く長命。数年の熟成後に円くなり気品が現れ、その真価が発揮される。」 (フランスAOCワイン辞典) と評価されています。
ニュイ・サン・ジョルジュのアペラシオンは、ニュイ・サン・ジョルジュ村と南のプレモー・プリセ (Premeaux-Prissey) 村に跨って広がっています。
ぶどう畑は、ヴォーヌ・ロマネ (Vosne-Romanee) に繋がる村の北側にある斜面 (ニュイ北部) と、プレモー・プリセに跨って広がる村の南側にある斜面 (ニュイ南部) との2つに分かれています。
ニュイ北部は、ブルゴーニュで最も素晴らしい斜面をヴォーヌ・ロマネと分け合い、ヴォーヌ・ロマネを彷彿とさせるフィネスと優雅さが認められるワインが生産されます。
ニュイ南部は、鮮やかな赤い粘土を含む土壌のため、ニュイ北部に比べて、より力強く、しっかりした骨格のワインが生産されます。
秀逸な一級畑やモノポール
ニュイ・サン・ジョルジュには、Grand Cru (特級畑) こそ無いものの、ワインの品質は高水準にあり、幾つかの区画からのワインは実質的にGrand Cru (特級畑) と同水準にあると評価され、高値で取引されています
ニュイ・サン・ジョルジュの 1er Cru (一級畑) 筆頭格は、ニュイ南部の「レ・サン・ジョルジュ」 (Les Saint-Georges) と「レ・ヴォークラン」 (Les Vaucrains) です。
両区画は、「Grand Cru (特級畑) に値する」と考えられています。 (以下は、「フランスAOC辞典」の評価)
「レ・サン・ジョルジュ」 (Les Saint-Georges)
「特に力強く完全で、バランスが取れアフターの長いワインが生産されている。このワインは、ニュイの南部にしては珍しく繊細なワインでもある。若い内から魅力的だが、完全に開花するまでには熟成を必要とする。」
「レ・ヴォークラン」 (Les Vaucrains)
「ニュイの一徹さと気品を表している。加えて、ここのワインは、複雑でエレガントなアロマを纏っている。若い内は重々しく、開花するには時間が必要なワインである。」
ニュイ北部は、ヴォーヌ・ロマネ側の東向き斜面から、ニュイ・サン・ジョルジュ側の南東向きの斜面へと変わり、直射日光の多さが、ワインに芳醇さをもたらしています。
ニュイ北部の優れた 1er Cru (一級畑) として、「レ・ダモード」 (Les Damodes)、「オー・ブード」(Aux Boudots)、「オー・ミュルジェ」(Aux Murgers)、「オー・シェニョ」(Aux Chaignots)、「オー・トレ」(Aux Torrey)、「ラ・リッシュモンヌ」(La Richemone) などが挙げられます。
「この地区からも秀逸なワインが生み出されている。ニュイ・サン・ジョルジュはあまり人気のない場所にとどまっているが、ブラインド・テイスティングをしてみるともっと買いたくなるはずだ。」 (ヒュー・ジョンソン氏) と評価されています。
ニュイ南部の優れた 1er Cru (一級畑) として、ニュイ・サン・ジョルジュ村とプレモー・プレセ村の境にある「レ・サン・ジョルジュ」 (Les Saint-Georges)、「レ・ヴォークラン」(Les Vaucrains) 、「レ・カイユ」(Les Cailles)、「レ・ディディエ」(Les Didiers) などが挙げられます。
これら区画のワインは、「精妙で力強く、それでいてエレガントさのあるワインが生み出されている。ここでの最上のワインは、精妙さと芳香を持ち、強い衝撃を与えるというよりは抑制された魅力をたたえている。」 (ヒュー・ジョンソン氏) と評価されています。
また、ニュイ・サン・ジョルのジュプレモー・プレセ村にある 1er Cru (一級畑) には、単独所有畑 (モノポール) が幾つかあり、高い市場評価を獲得しています。
・ラルロ (Domaine de l’Arlot) の「クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュ」 (Clos des Foret Saint-Georges) と「クロ・デ・ラルロ」 (Clos de l’Arlot)
・プリューレ・ロック (Domaine Prieure Roch) の「クロ・デ・コルヴェ」 (Clos des Corvees)
・パトリス・リオン (Domaine Michele et Patrice Rion) の「クロ・サン・マルク」 (Clos Saint Marc) と「クロ・デ・アルジリエール」 (Clos des Argillieres)
・プリューレ・ロック (Domaine Prieure Roch) の「クロ・デ・コルヴェ」 (Clos des Corvees)
・ジャック・フレデリック (Domaine Jacques Frederic) の「クロ・ド・ラ・マレシャル」 (Clos des la Marechale)
・ペルドリ (Domaine Perdrix) が99%所有する準モノポール (Quasi Monopole) 「オー・ペルドリ」 (Aux Perdrix)
「レ・サン・ジョルジュ」「レ・ヴォークラン」の Grand Cru (特級畑) 昇格に向けて活動中!!
高い名声を誇る歴史ある銘醸地
ニュイ・サン・ジョルジュは古くから銘醸地として知られ、ルイ14世のお抱え医師、ファルゴンが、1680年頃、体調不良のルイ14世にニュイ・サン・ジョルジュのワインを処方、効果があったことをきっかけに、名声が高まります。
以来、宮廷や貴族たちの間で人気が高まり、広く知られるようになりました。
また、1971年にはアポロ15号が月にニュイ・サン・ジョルジュのエチケットを残し、着陸したクレーターを「サン・ジョルジュ」と命名したことでも知られています。
ジュール・ベルヌの「月世界旅行」にて、地球と月の結び付きを祝って、登場人物達が 1 本の「ニュイ・サン・ジョルジュ」のワインを飲む場面があります。
アポロ15号のスコット船長は、その一節と自身のニュイ・サン・ジョルジュ訪問における感動の記憶と共に、エチケットを月面に残し、着陸したクレーターを「サン・ジョルジュ」と命名したと言われています。
ニュイ・サン・ジョルジュの1er Cru (一級畑) のうち、「レ・サン・ジョルジュ」と「レ・ヴォークラン」は、極めて評価が高く、Grand Cru (特級畑)と同等水準にあると市場で評価されています。
世界的名声を博しているアペラシオンにもかかわらず、Grand Cru (特級畑) がないのは、1930年代の原産地呼称制度の発足にあたって、「レ・サン・ジョルジュ」の Grand Cru (特級畑) 認定の申し出を拒否したことに起因すると言われます。
村を代表する区画をどれにするか、会議の中で、「レ・サン・ジョルジュ」派と「レ・ヴォークラン」派に分かれ、僅か 1 票差で「レ・サン・ジョルジュ」となりました。
結果的に、村内の融和や Grand Cru (特級畑) になると地租が重くなる点を考慮、「レ・サン・ジョルジュ」の Grand Cru (特級畑) 認定を断りました。
しかしながら、2007年より、ニュイ・サン・ジョルジュの「レ・サン・ジョルジュ」と「レ・ヴォークラン」の Grand Cru (特級畑)への昇格に向けた動きが始まりました。
ニュイ・サン・ジョルジュのフラグシップが Grand Cru (特級畑) として明確になることで、「レ・サン・ジョルジュ」や「レ・ヴォークラン」のみならず、ニュイ・サン・ジョルジュ全体の評価が高まると期待され、Grand Cru (特級畑) への昇格が待望されています。
卓越した生産者一覧
・ジャン・クロード・ボワセ (Maison Jean-Claude Boisset)
「グレゴリーは、幅広い種類のワインを造っている。2004年からのワインを全てテイスティングしたが、不味いと思ったワインは一つもない。」
・ダルデュイ (Domaine d’Ardhuy)
「ダルディのワイン造りのテーマは『個々のテロワールの真髄を残しながら、ワインの凝縮感を高める』ことにある。」
・ジャン・ショーヴネ (Domaine Jean Chauvenet)
「ドメーヌの造り出すワインは、どれも濃い色をした、鮮烈な印象のワインである。しかしその抽出された色とは裏腹に、ワインはシルクの質感があり、それがまた驚きである。」
・オスピス・ド・ニュイ (Hospices de Nuits)
「ボーヌのオスピスの愛らしい小型版である。ワインの質は、10年ほど前に比べ各段に向上した。これらは、慈善事業を抜きにしても買いたいワインだ。」
・ミッシェル・エ・パトリス・リオン (Domaine Michele et Patrice Rion)
「私は、このドメーヌから幾つかの最上のワインを選び出すのに苦労すると、嬉しい叫び声をあげなければならない。最上のワインは、疑いなく、ニュイ・サン・ジョルジュ 1er Cru (一級畑) クロ・サン・マルクである。」
・ヴージュレ (Domaine de la Vougeraie)
「ドメーヌの方法の中心原理は、月齢による作業日程の決定と、ぶどう畑におけるビオディナミ農法である。ほとんどのワインが、バランスが良く、うまく造られている。」
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