サントネイは、ぶどう畑が広がる丘の上に立つ「ソリンの風車」が街を見守り、ぶどう畑に囲まれた愛らしく美しい街は、「水の妖精とワインの神の故郷」と言われています。
サントネイは、かつて「サントネ・レ・バン」 (Santonay-le-Bains = 温泉の出るサントネイ) と呼ばれ、湯治場として知られていました。
現在でもサントネイの街では、欧州で最もリチウム度の高い温泉が湧出しています。
また、ブルゴーニュ公国の初代公王、フィリップ・ル・アルディが建設し、現在もワインを造り続ける「シャトー・ド・サントネイ」の城館など、ブルゴーニュの歴史を感じることのできる街です。

土壌は、コート・ド・ボーヌから連なる石灰岩を中心とした土壌であり、サントネイ北部の岩と土壌は、隣のシャサーニュ・モンラッシェに類似しています。

サントネイでは、赤・白ワインとも生産され、白ワインの評価の高い産地ですが、白ワイン生産量は、10％以下にとどまっています。
例えば、著名なワイン評論家のヒュー・ジョンソン氏は「白の 1er Cru (一級畑) はかなりお買い得である。」と評価しています。
そして、「シャサーニュ・モンラッシェと近い畑から造られる白は、そのより高価な隣人との強い血縁的類似性を示し、特にアロマはよく似ている。プス・ドールのサントネイ・クロ・ド・タヴァンヌ (Clos-de-Tavannes) は別格として、数え方にもよるが、16のプルミエ・クリュがあり、特に名の通った畑はないが、村名呼称ワインには多くの良質なものがある。」(ヒュー・ジョンソン) とコメントしています。
もっとも、「サントネイは、シャサーニュの隣にある村であるが、いまのところピノ・ノワールを抜根してシャルドネに植え替えるという傾向はない。」(ヒュー・ジョンソン) と言われています。

サントネイの白ワインは、明るく澄んだ薄い黄金色の色調、ミネラルと花のアロマが豊かな調和のとれたスタイルです。
赤ワインは、輝く紫紅色の色調と赤い果実のアロマを伴い、控えめなタンニンとしなやかなコクと骨格のワインで、バランスが良く、ゆっくりと熟成します。
赤・白ワインとも、熟成により真価を発揮するワインが多く、品質が良い割に値段が落ち着いている為、お買い得なワインをしばしば見つけることのできる産地です。

特に評価の高い区画は、サントネイのシャサーニュ・モンラッシェ側に広がる 1er Cru (一級畑) です。
例えば、別格扱いのクロ・ド・タヴァンヌ (Clos-de-Tavannes) を筆頭に、ラ・コム (La Comme)、レ・グラヴィエール (Les Gravieres)、そして「ソリンの風車」があるボールガ－ル (Beaureguard) が挙げられます。
また、サントネイの 1er Cru (一級畑) ラ・マラディエール (La Maladiere)、ボールペール (Beaurepaire)、クロ・ルソー (Clos Rousseau)、グラン・クロ・ルソー (Grand Clos Rousseau) も評価が高く、値頃感のあるお買い得ワインと言われています。

評価の高い生産者としては、サントネイのドメーヌ・ロジェ・ベラン (Domaine Roger Belland)、ドメーヌ・リュシアン・ミュザール (Domaine Lucien Muzard) などが挙げられ、ワイン評論家のヒュー・ジョンソン氏は、以下のように評価しています。

・ドメーヌ・ロジェ・ベラン (Domaine Roger Belland)
「ここは、『シャサーニュ・モンラッシェ』、『ポマール』、『ヴォルネイ』から優れた赤を出しているが、私の任務は、忠実にサントネイ 1er Cru (一級畑) 『ボールガール』 (Beaureguard) を推奨したい。それは、このドメーヌが造っている 3 つのサントネイ 1er Cru (一級畑) の一つで、最も衝撃が強く、その一方で、ミネラルの核も確かである。このドメーヌの『ボールガール』は、サントネイのワインの最上の見本であるだけでなく、ドメーヌ・ロジェ・ベランの個性である『これが俺だ』的な、ざっくばらんなスタイルを最も良く示している。」

・ドメーヌ・リュシアン・ミュザール (Domaine Lucien Muzard)
「ここは、7種類の赤ワイン、2種類が村名呼称で、5種類がプルミエ・クリュ、を造っており、それらをレストランのワイン・リストで目にすると嬉しくなる。私が最も好きなワインは、『クロ・ド・タヴァンヌ』 (Clos-de-Tavannes) である。それは、ピノ・ノワールのフレーバーが口中を満たす、丸みのあるしなやかなワインで、早熟なワインもあるが、また長期熟成能力も備えたワインである。」