収穫事時期におけるブルゴーニュの賑わい
収穫 (ヴァンダンジュ, Vendange) の時期は、ブルゴーニュが最も輝く時期と言われています。果実を摘み取り、ワインを樽やタンクに注ぐまでの約 2 ヶ月間、ワインの生産に携わる人々は、16 時間労働があたりまえになると言われています。
ブルゴーニュ地区全体が人で埋め尽くされ、10 ヶ月間空室だったアパートは、コート・ドールでの 2 ヶ月間の熱狂的な仕事のために、世界中から集まってきた人々で満たされます。有名なドメーヌには、収穫の 10 ヶ月前から、希望に満ちた醸造家の卵から履歴書が届けられます。彼らは、多くが摘み手としての経験があり、端役でもいいから、ブルゴーニュという大舞台に立ちたいとい願っています。醸造所が難しいなら、ぶどう畑の摘み手となって、昔の友情を温めるのもよいと考えています。
バン・デ・ヴァンダンジュ
数世代も前からコート・ドールでは、収穫を始めてよい日が当局によってきめられています。その日を、バン・デ・ヴァンダンジュと言います。そして、特殊な理由がない限り、その日以前に摘み取られたぶどう果実は、すべて没収されることになっています。バン・デ・ヴァンダンジュとは、収穫開始を告げる日をスタートの合図を表す発泡音の「バン」を表しています。そして、バン・デ・ヴァンダンジュは、ぶどうの質を確保するための伝統的な手法です。十分にぶどう果実が成熟するまでは、ぶどうを摘むことも、販売することも許されないという規制を意味していました。そして、バン・デ・バンダンジュ以降であれば、造り手が望むときまで、収穫を遅らせることができるようになります。
2007 年以降、バン・デ・ヴァンダンジュは、実質的な意味がなくなりました。一応決められるのものの、かなり早めに設定され、醸造家が守らなければならない決まりというよりは、伝統的なものを守っていくという意味合いが強くなりました。
収穫に向けた慌ただしい準備
収穫が近づくにつれ、ブルゴーニュでは、人の動きが慌ただしくなっていきます。人々は、せわしなくぶどう畑を動き回り、糖分濃度を確かめて、果粒を口に含んでみるなどが頻繁に行われます。ドメーヌは、これまでよりも増して忙しくなります。樽事業者には、注文が相次ぐようになり、小型トラックがレンタルされて、あらゆる形の大きさのタンクが洗浄、消毒されます。同様に、隅に押しやられていた圧搾機や除梗機、トリア―ジュと呼ばれる選果台が引き出されて、点検・洗浄されます。前庭も片づけられて、天幕が張られます。また、音楽を流すための機材が用意されます。
収穫の様子
収穫は、多くの場合、夜明けとともに行われます。雨が降っていない日でも、ぶどうは朝露で冷たく濡れています。しかし、摘み手の足元は、それほど濡れてもいないし、冷たくもないです。通常、果房は、収穫後 1 ~ 2 時間以内に、ドメーヌに届けられ、選果台に並べられます。そこで、腐った実や、成熟していない実、あるいは熟れ過ぎた実が、日に焼けた葉や紛れ込んだカタツムリと共に除去されます。なかでも腐った実を除去することが大切と言われています。
腐った実が混ざっていると、ワインの芳香や味わいを狂わせて、「off」な状態にする最大の要素であり、腐敗性の細菌を混入させて、ワインの色を褪せさせてしまう元凶になるからです。
トリア―ジュ (選果) の様子
トリア―ジュの原則は単純です。「口に入れてうれしくないものはすべて除去せよ」というものです。トリア―ジュは、空港の動く歩道のような可動式ベルトの上で行われ、ぶどうはハサミを手に持った多くの目で注視されながら、ベルトの上を流れていきます。ベルトの動く速さと、流れるぶどうを見守る人の多さが、直接、果実の清潔さに影響します。ゆっくりと流れるほど、多くの人の目の前を通っていくほど、より多くの基準に適さない原料が除去されます。
選果する手法
選果する手法は色々とあります。トリア―ジュをぶどう畑で行い、最上の果粒だけを摘み取るドメーヌもあります。専門家は、それは、時間のかかるやり方であり、ドメーヌで選果を待つ間に、酸化してしまう危険を減らす効果があると言います。選果台を車で牽引してぶどう畑に持っていき、ぶどう畑で選果する生産者、ぶどう畑で選果した後に、ドメーヌで更に選果する生産者もあります。しかしながら、多くの場合は、ドメーヌで選果を行うのが一般的となっています。
