マデイラ (Madeira) とは
マデイラは、ポルトガルのリスボンから南西に 1,000 km 離れた大西洋のマデイラ島で生産される酒精強化ワインです。マデイラと同じくポルトガルで生産されるポート、スペインで生産されるシェリーと並び、マデイラは、世界三大酒精強化ワインの一つに位置付けられています。
マデイラの製法
マデイラは、発酵の途中に、度数 96 % のグレープ・スピリッツを付加して、酵母を死滅させて発酵を強制的に止める、或いは発酵後にグレープ・スピリッツを付加して造ります。大航海時代に、赤道を越えてポルトガルの植民地に届いたマデイラ産のワインが好評だったことに因み、グレープ・スピリッツを付加した後に、加温して酸化熟成させてマデイラに独特な味わいを付与しています。
マデイラの楽しみ方
マデイラの規定により、アルコール度数は、17 ~ 22 % に定められ、ワインの味わいは、酸化熟成による独特な酸味を特徴とする、芳醇で複雑味溢れる甘口なワインです。食前酒、食後酒として用いられるほか、ストレートのみならずロックやソーダ割などでの楽しみ方もあります。
マデイラの保存
酒精強化されたアルコール度の高いワインであること、販売される段階で、既に加熱しながらの酸化熟成を経ていることから、劣化の心配もほとんどなく、非常に長命なワインとなっています。マデイラは、そもそも、意図的に温めて酸化させて造られるので常温で保管できます。しかしながら、長期間になる場合は、アルコール度数が高いことから、アルコールがコルクを劣化させる可能性があるため、ボトルを立てて冷暗所で保管するほうが望ましいです。また、冷蔵庫内にて低温で長く保管していると、ワインの成分が凝縮して、成分の一部が析出し沈殿物が出てくる可能性があります。
また、ボトルを抜栓しても、これ以上酸化が進むことが無いため、抜栓後、何週間に亘ってそのままにしておいても、味わいが変化することが無く、少量ずつ楽しむことが出来ます。
ぶどう品種による違い
マデイラの味わいは、用いられるぶどう品種によって、味わいが異なります。
セルシアル 標高 600 ~ 700 m の最も標高の高い高地で栽培。芳香に富むんだ辛口ワイン。
ヴェルデーリョ 標高 400 ~ 600 m の冷涼なマデイラ島北部で栽培。スモーク香ある中辛口ワイン。
ボアル 標高 300 ~ 400 m のマデイラ島南部、温暖な地域で栽培。芳醇で中甘口なワイン。
マルヴァジア 海沿いの高温な地域で栽培。凝縮感ある甘口でリッチな味わいのワイン。
ティンタ・ネグラ・モーレ マデイラ島の各地で栽培。甘口・辛口幅広く用いられ主にブレンド用。
熟成期間による違い
マデイラは、3 年以上の熟成が義務付けられています。
フラスケイラ或いはガラフェイラ 所謂ヴィンテージ・マデイラであり、単一品種・単一収穫年によるワインです。最低でも 20 年の樽熟成、2 年の瓶熟成、100 % 単一品種である必要があり、最も厳格な規則のもとで造られるマデイラです。
コリェイタ 単一収穫年のヴィンテージ・マデイラなものの、ぶどうの品種は単一品種である必要が無いなど制限がなく、ぶどう品種の表示は不要であり、樽熟成の期間は、5 年以上必要ですが瓶熟成は不要となっています。
レゼルヴァ 熟成期間に応じて、名称が異なります。5 年:レゼルヴァ、10 年:スペシャル・レゼルヴァ、15 年:エクストラ・レゼルヴァと言います。これらの熟成期間を超えた 20 年、30 年などの非常に長い期間の熟成を経たマデイラもあります。