村名呼称格付けのジュヴレ・シャンベルタンはお買い得なワイン
ジュヴレ・シャンベルタンの村名呼称格付けのワインは、対象となる村名呼称格付けのぶどう畑の面積が 360 ha とブルゴーニュ最大です。2 番目に広いムルソーの 305 ha と比べても、村名呼称格付けの畑は 20 % ほど広いと言えます。
ぶどう畑の面積が大きいため、必然的に、生産されるワインの生産量が多くなり、その結果、価格が安定していて、ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・ミュジニーなど、近隣の名だたる銘醸地に比べると割安になる傾向があります。もちろん、ワインの品質が総じて高いことから、ブルゴーニュ、コート・ドールのお買い得ワインの一つに挙げられます。
もちろん、コロナ禍を経て、世界的なインフレと円安によって、ジュヴレ・シャンベルタンのワインも随分と高値が付くようになり、ブルゴーニュにおける他の銘醸ワインと同様に、お買い得ワインとは言えなくなって来ていますが、周囲の高い名声を誇る銘醸地に比べると、割安な傾向にあるのは、今も変わらない状況です。
多くの場合、複数区画をブレンド
ジュヴレ・シャンベルタンの村名呼称格付けワインは、69 もの畑名を記載することが出来るものの、多くの生産者は、ぶどう畑の区画名を記載することはあまりありません。ぶどう畑の区画名が判れば、地形や畑の位置から、ある程度ワインの味わいが想像つくかもしれませんが、多くの生産者は、複数の区画をブレンドしているため、その結果、村名呼称格付けのワインがどの地区やぶどう畑から生産されるかは、なかなか判明しない状況にあります。
ワインの味わい
ジュヴレ・シャンベルタンの村名呼称格付けのワインが生産される土壌は、石灰岩の基盤層に、粘土や酸化鉄が多く、酸化鉄によって赤い色を帯びている上層部の土壌で構成されています。タンニンが豊かで骨格のしっかりした堅牢な長期熟成型のワインが生み出され、ヴィンテージを重ねた村名呼称格付けのワインについても、グラン・クリュ (Grand Cru, 特級畑) やプルミエ・クリュ (1er Cru, 一級畑) のワインと同様に、高い評価を受けています。
ジュヴレ・シャンベルタンの地形は、西側の標高が高く、東に行くにつれて標高が下がり、沖積平野へと移行しています。そのため、ぶどう畑の標高が下がるにつれて、石灰岩の基盤層が深い位置になり、ミネラルや複雑味という石灰岩の基盤層に由来する要素が減少していく傾向にあります。したがって、標高の高いアペラシオン西側の区画からのワインのほうが優れた品質になりやすい傾向にあると言われています。
生産者による違いが反映しやすい傾向
村名呼称格付けのぶどう畑は広く、実際には複数の区画をブレンドして造り手が生産・販売していることが多いことから、村名格付けのジュヴレ・シャンベルタンの味わいを決める決定的な要素は、造り手による差異であると言われています。例えば、「村名呼称ジュヴレ・シャンベルタンの中で良いワインを見つけようとするならば、評判の良い生産者を選ぶことが大切である。」 (ビル・ナンソン氏) と言われてます。
もちろん、ジュヴレ・シャンベルタンのワインは、品質が総じて高い水準にあることから、先ず、殆どのワインは、味わいを十分に楽しむことができると考えます。そのような状況にあって、造り手の手腕やこだわりがワインの品質に反映しやすい傾向にあることを踏まえ、ジュヴレ・シャンベルタンのワインを選ぶ際の評価軸の一つに、造り手という要素を加味するのも一案です。
区画名からの想像を巡らせる
また、少ないながらも、ジュヴレ・シャンベルタンの村名呼称格付けワインにぶどう畑の区画名が記載されている場合は、その区画がどのような位置にあるのか、区画の特徴を捉えることがワイン選びのポイントになりうると考えます。多くの場合、造り手が、村名呼称格付けのワインに、区画名を示す場合は、その区画に、生産者の特別な思い入れ、優れた点、個性的な要素がある場合が多いことから、対象となるぶどう畑の区画が持つ特徴や造り手の想いやこだわりを捉え、生産者の特徴や手腕と掛け合わせて想像を巡らせることが、ジュヴレ・シャンベルタンの村名呼称格付けのワイン選びにおける参考になるかもしれません。
