ジュヴレ・シャンベルタン (Gevrey Chambertin) の歴史

ジュヴレ・シャンベルタン (Gevrey-Chambertin) ワイン通販 レ・ブルジョン

ジュヴレ・シャンベルタンは、ブルゴーニュにある 24 のグラン・クリュ (Grand Cru, 特級畑) の内、「9 つのグラン・クリュ (Grand Cru, 特級畑) を擁するブルゴーニュワインの王様」(ブルゴーニュ・アペラシオン完全ガイド) と評価されるブルゴーニュを代表する傑出したアペラシオンです。ジュヴレ・シャンベルタンは、県道 122 号線、ブルゴーニュの所謂「グラン・クリュ街道」の北の入り口に燦然と輝く素晴らしいアペラシオンです。疑いもなく、ジュヴレ・シャンベルタンは、世界最高のワイン産地の一つです。そして、世界最高の銘醸地を創り出しているのは、ジュヴレ・シャンベルタンの地形であると言われています。

ジュヴレ・シャンベルタンの形成

ジュヴレ・シャンベルタンは、元々、巨大な石灰岩の岩盤だったところに亀裂が入り、楔を打ち込まれたように両側に裂け、その後、浸食によって裂け目が広がって、ジュヴレ・シャンベルタンの原型となるコンブ・ド・ラヴォー (Combe de Lavaux) 渓谷が形成されていきました。コンブ・ド・ラヴォー渓谷では、何千年もかけて、狭い渓谷が両側の岩肌を削って、その渓谷の口から、ミネラルを豊富に含む土砂を扇状に吐き出し、最初に狭い帯状の斜面を覆って最後に洗い流してきた砂礫を台地の上全体に広げることで、沖積扇状地を形成していきました。ジュヴレ・シャンベルタンは、ブルゴーニュのコート・ド・ニュイで最も見事と言われる渓谷であるコンブ・ド・ラヴォー渓谷の沖積扇状地がアペラシオンの対象地域であり、沖積扇状地の中心にジュヴレ・シャンベルタンの村があります。

ジュヴレ・シャンベルタンの土壌は、岩盤の石灰岩上に、石灰岩に由来する泥灰土と鉄分の多い沖積土が混ざった赤い粘土が浅く堆積し、ワイン造りに最適な土壌を構成しています。「豊かなアロマと、複雑で素晴らしい優雅さと力強さを備えた、しっかりした構成の赤ワインが生み出されている。そのワインは、長い熟成を経て、テロワールの豊かな魅力を存分に発揮するようになる、熟成タイプである。」 (フランスワイン、テロワール・アトラス) と評価される傑出したワインが一貫して生み出されています。

ローマ時代に遡るブルゴーニュで最初のぶどう畑

ジュヴレ・シャンベルタンにてぶどう栽培が始まったのは、ローマ時代の紀元前 1 世紀頃と言われ、ジュヴレという村名はローマ時代にジュヴレ・シャンベルタンの地に住んでいた人物の名前に由来していると言われています。

ジュヴレ・シャンベルタンでは、2008 年に宅地の浄化槽を拡張するための土地造成工事を行っていた際に、紀元前 1 世紀に遡る 120 本ものぶどう樹を植えていた跡が発見されました。発見されたローマ時代のぶどう畑における植樹跡は、ローマ時代の人物で博物誌で有名なプリニウスや農学者のコルメラの著書に記載されていたぶどうの植樹法と一致するものであり、ジュヴレ・シャンベルタンのぶどう畑がブルゴーニュで最初に開墾されたぶどう畑であったのではないかと言われています。また、当時のジュヴレ・シャンベルタンにおけるぶどう畑は、平地に広がっており、現在のジュヴレ・シャンベルタンを含むコート・ド・ニュイのように、台地の斜面にぶどう畑が広がっている状況とは異なっていました。

教会勢力によるワイン造り

ジュヴレ・シャンベルタンで、ワイン造りが盛んになるのは、7 世紀頃からです。630 年にベーズ修道院がブルゴーニュ大公から土地の寄進を受け、修道士たちがぶどう畑を開墾し、ぶどう畑を頑丈な石垣で囲んで、クロ・ド・ベーズ (現在のシャンベルタン・クロ・ド・ベーズ) にてぶどう栽培とワイン造りを開始します。クロ・ド・ベーズから造られるワインは、素晴らしいものであり、高い名声を誇っていました。

その後、ジュヴレ・シャンベルタンにおいて、クリュニー修道院によるぶどう畑の開墾とワイン造りが本格化し、教会勢力によるワイン造りが盛んになっていきました。

シャンベルタンの始まりと高い名声

13 世紀に、農夫のベルタンは、クロ・ド・ベーズの名声を聞き、ベーズ修道会が所有するぶどう畑に隣接して、自らのぶどう畑を開墾してモノポール (Monopole, 単独所有畑) とし、ドメーヌを開設してワイン造りを始めます。ベルタンは、既に高い名声を誇っていたベーズ教会のぶどう栽培法や醸造法を学んで基礎として、自らが造るワインに磨きをかけて、傑出したワインを造ることに成功します。ベルタンが所有していたぶどう畑は、シャン・ド・ベルタン「ベルタンさんの畑」と言われ、現在は、ブルゴーニュの頂点に君臨する区画の一つ、グラン・クリュ (Grand Cru, 特級畑) の「シャンベルタン」となっています。

シャンベルタンは、男性的で力強くエレガントなワインのスタイルから「ブルゴーニュの王」「王者のワイン」と形容され、ブルゴーニュ最高峰に位置付けられるワインの一つと評価されています。実際、ルイ 16 世やナポレオンが愛飲し、とりわけナポレオンは、「シャンベルタンしか飲まない。」というほど愛飲し、常に、戦場に持ち込んでいたと言われる溺愛ぶりだったと言われています。

ジュヴレ・シャンベルタンの村名

ジュブレ・シャンベルタンは、ジュヴレ・アン・モンターニュと呼ばれていた村でしたが、19 世紀になると、名高い区画であるシャンベルタンの区画名にあやかって、村名を変更する動きが活発になります。そして、1847 年に、フランスのルイ・フィリップ国王が政令を発布し、ジュヴレ・シャンベルタンという村名への変更が認められ、現在に至っています。

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