ブルゴーニュワインについて

ブルゴーニュ ぶどう畑

「ワイン世界の古典的地域というものは、全てが語り尽くされ、あらゆる手段が用いられた、そんな枯渇した場所ではない。最も優れた転換・変化がおこりえるところなのである。そして、大地と人の技が融合して生み出される精妙の極みを追求するために最大の努力を払うことが経済的にも報われる場所である。」 (ヒュー・ジョンソン氏)

ブルゴーニュは、ローマ帝国時代から続く、ワインの銘醸地であり、フランス・ワイン最高峰のワインを生み出す産地としてボルドーと双璧を成しています。

ブルゴーニュは、計り知れない奥深さがあり、ブルゴーニュほど、長きにわたって、探求を続けてきた産地は無いと言えます。ぶどう畑は、何世紀もかけて細かな区画に区分され、入念に栽培され、個性的な名前が与えられてきました。

数世紀にも亘って、ワインの頂点に君臨するブルゴーニュを語るときに「テロワール」という言葉がしばしば用いられ、現在、「テロワール」という言葉は、やや濫用されているかもしれません。しかしながら、ブルゴーニュにおいては、中世の時代に修道士たちによって、名付けられた個々の区画が微妙な差異を持ち、その差異が、毎年造るワインに一貫して現れることは、自明のことであり、ブルゴーニュ独特の魅力を生み出す源泉となっています。

ブルゴーニュ ぶどう畑

ブルゴーニュは、一つの区画であっても、多くの異なる生産者が所有していることが多く、それゆえ、区画の差異×生産者の差異が掛け算され、他の地域に見られれない、奥行きの深さと楽しみを生み出しています。そのため、「志の高い栽培農家によって所有されている格付けの低い区画が、名の通ったグラン・クリュよりも感動させるワインを生み出すことは決して珍しいことではない。」 (ヒュー・ジョンソン氏) という驚きがしばしば見られ、ワイン愛好家や評論家の議論、生産者への称賛をもたらします。

ブルゴーニュにて栽培される主なぶどう品種は、「シャルドネ」と「ピノ・ノワール」という、国際的な品種ですが、ワインは、まぎれもなく、「ブルゴーニュの味」がします。しかしながら、ブルゴーニュをイメージするワインは、人によって異なり、白ワインは、ピュリニー・モンラッシェ、ムルソー、シャブリ、赤ワインは、ジュヴレ・シャンベルタン、ヴォーヌ・ロマネ、ヴォルネイなど、人によって様々です。

また、同じ産地のワインであっても、希少価値の高いワインや有名な造り手のワインは、芸術作品のような高値で市場価値が付けられ、一方、知名度の低い造り手のワインは、他の産地に比べると値段は高いながらも、落ち着いた価格で購入でき、しばしば、掘り出し物と言えるワインに出会うこともあります。

掘り出し物のワインに出会えたとしても、ブルゴーニュのワインが安価と言う人は、先ず無いと思います。しかしながら、「ブルゴーニュは、価値を見出す場所であるだけでなく、驚きを見出す場所である。」 (ビル・ナンソン氏) と評価されるように、うっとりとするような芳香、忘れられないフレーヴァーなど、経験によってしか得られない、人が本来持つ感性を刺激する極上ワインに、しばしば出会うことのできる素晴らしい産地と言えます。

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