ラタフィアは、主にシャンパーニュで造られる酒精強化ワインです。収穫直後のぶどう果汁に、「マール」と呼ばれるぶどうの搾りかすから造った蒸留酒を添加し、発酵するのを止めて造られる甘口の酒精強化ワインです。未発酵のぶどう果汁に、「マール」を添加して発酵を停止させていることから糖分が残るため、ぶどう果汁に由来する心地よくも繊細な甘さが特徴であり、食後のデザート・ワインとして楽しまれることの多いワインです。
ラタフィアは、地元フランスにて、昔からデザートワインなどとして愛飲されていたり、シャンパーニュのメゾンにて自家用として造っていたりするので、基本的には、地元やフランス国内で消費されてしまい、フランス国外での流通量が極めて少ない希少な甘口のワインです。
ラタフィアの多くが、二番絞りのぶどう果汁から造られることが多いです。しかしながら、シャンパーニュ・メゾンの中には、一番搾りの果汁から仕立てているこだわりの生産者も見られます。ラタフィアは、産地や造り手によって、使用する品種、添加するアルコールの割合や度数も様々となっていることから、個性豊かで、選ぶ楽しみのあるワインと言えます。
ぶどうの自然な甘みがベースとなった、まろやかで上品な味わいのラタフィアは、生ハムなどの塩気のあるおつまみ、チーズ、フルーツ、デザートなどのあらゆる料理を引き立てることで知られ、まさに、食後のデザートワインとして最適です。ラタフィアは、開栓した後、栓をして冷蔵庫で保管すれば、数ヶ月は十分に品質を維持できることから、長くゆっくりと楽しむことができるのも魅力の一つと言えます。
ラタフィアの主力産地は、シャンパーニュであり、「ラタフィア」と言えば、多くの場合、シャンパーニュ産と認識されます。ただし、ブルゴーニュでもラタフィアは少量生産されていることから、シャンパーニュ産のラタフィアを「ラタフィア・ド・シャンパーニュ」(Ratafia de Champagne)、ブルゴーニュ産のラタフィアを「ラタフィア・ド・ブルゴーニュ」(Ratafia de Bourgogne)と言って区別することがあります。