ボルドー、サン・テミリオン格付け (Bordeaux, Saint Emilion Classification)
ボルドー (Bordeaux) のサン・テミリオン格付け (Saint Emilion Classification) は、1954 年にフランス政府の公的機関であるINAO (l’ Institut National des Appellations d’Origine) により作成され、政令により公布されました。
ナポレオン 3 世の命令を受け、ボルドー市の商工会議所が作成したメドック地区の格付け制定の 1855 年から、約 100 年後に作成されました。
ナポレオン 3 世の命令を受け、ボルドー市の商工会議所が作成したメドック地区の格付け制定の 1855 年から、約 100 年後に作成されました。
格付けは、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ A と B (Premiers Grands Crus Classes A, B)、グラン・クリュ・クラッセ (Grands Crus Classes) に分かれます。
メドックの格付けと異なるのは、生産者主導により作成された格付けであり、10 年に一度見直しが行われる点です。
現在、格付けに認定されている生産者であっても、格付けの改定時には、他の生産者と同様に、書類を提出して審査を受ける必要があります。
メドックの格付けと異なるのは、生産者主導により作成された格付けであり、10 年に一度見直しが行われる点です。
現在、格付けに認定されている生産者であっても、格付けの改定時には、他の生産者と同様に、書類を提出して審査を受ける必要があります。
サン・テミリオンの格付けの審査は、ワインの官能検査に重点が置かれ、審査員は、ワイン仲買人、ワイン商、法律家、ワイン醸造学者などの第三者で構成されています。
1855 年に制定されてから、殆ど変更が加えられてないメドックの格付けに比べ、10 年に一度、定期的に見直しが行われる点で、信頼性の高い格付けと言えます。
1855 年に制定されてから、殆ど変更が加えられてないメドックの格付けに比べ、10 年に一度、定期的に見直しが行われる点で、信頼性の高い格付けと言えます。
しかしながら、昇格するシャトーと降格するシャトーがあることから、対象となるシャトーの評価とワインの価格、土地の価格やブランド価値に、大きな影響を与えることになります。
2006 年に格付けの見直しが行われた際、13 のシャトーが降格となり、その内、8 シャトーが、選考委員会の公平性を疑問視する訴えを提起します。
2006 年に格付けの見直しが行われた際、13 のシャトーが降格となり、その内、8 シャトーが、選考委員会の公平性を疑問視する訴えを提起します。
そして、2008 年に、ボルドーの行政裁判所は、2006 年の改定格付けを取り消す決定を下し、新しい格付けが決定するまで、1996 年の格付けを適用することになりました。
また、2006 年の格付けで昇格する予定となっていた 8 生産者も、正式に昇格を認められました。
また、2006 年の格付けで昇格する予定となっていた 8 生産者も、正式に昇格を認められました。
その後、2012 年から適用される格付けが公布され、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ A (Premiers Grands Crus Classes A) には、オーゾンヌ (Ch. Ausone)、シュヴァル・ブラン (Ch. Cheval Blanc) に加え、アンジェリュス (Ch. Angelus) とパヴィー (Pavie) が加わり、話題になりました。
しかしながら、2006 年から続いた法廷闘争や評価の公平性などへの生産者からの疑義や不満は解消されず、また2012 年格付けに対する疑義から訴訟が再び提起され、格付けの基準や公平性について疑問視する声が高まっていきました。
格付け制度への疑義が解消されない中、2022 年の格付けについて、サン・テミリオンのトップ生産者であるオーゾンヌとシュヴァル・ブランは、2021 年に審査基準への疑義を理由に格付けに不参加を表明し、格付けからの離脱を決定します。
オーゾンヌとシュヴァル・ブランは、テロワールの優位性やワインの品質を軽視し、観光客の数やソーシャルメディアのフォロワー数といった基準でシャトーを評価していると不満を表明しています。
オーゾンヌとシュヴァル・ブランは、テロワールの優位性やワインの品質を軽視し、観光客の数やソーシャルメディアのフォロワー数といった基準でシャトーを評価していると不満を表明しています。
また、2012 年にプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ A (Premiers Grands Crus Classes A) に昇格したばかりのアンジェリュスも、2012 年の格付けを巡り、共同経営者が特定のシャトーに有利になるよう、INAO 内で地位を利用したとして有罪となったことを理由に格付けへの参加を辞退します。
更に、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ B (Premiers Grands Crus Classes B) のラ・ガフリエール (Ch. la Gaffeliere) も審査基準への疑義を理由に格付けに参加しませんでした。
一方、フィジャック (Ch. Figeac) が、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ B (Premiers Grands Crus Classes B) から A に昇格しました。
更に、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ B (Premiers Grands Crus Classes B) のラ・ガフリエール (Ch. la Gaffeliere) も審査基準への疑義を理由に格付けに参加しませんでした。
一方、フィジャック (Ch. Figeac) が、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ B (Premiers Grands Crus Classes B) から A に昇格しました。
このように、2022 年の格付けは、幾つもの優れた生産者が格付けに参加せず、サン・テミリオンの格付けそのものの信頼度が、生産者の間で揺らいでいることを示す内容となりました。
これは、官能検査を中心に、テロワール、栽培・醸造、価格、シャトーの名声などの要素から判断していた従来の格付けが、観光客数、HP の充実度、ソーシャルメディアでのフォロワー数、ワインツーリズムの取り組み、駐車場の整備状況など、本来のワイン造りとは異なる要素を評価対象に組み込むようになり、それらを重視していること、その結果、生産者の時間・資金・労力面における負担が増大していることに対する生産者による不満の表れと言えます。
また、生産者や消費者の価値観が多様化する中で、格付けを、如何に公平に、正確に定めるのが困難かということを示しています。
これは、官能検査を中心に、テロワール、栽培・醸造、価格、シャトーの名声などの要素から判断していた従来の格付けが、観光客数、HP の充実度、ソーシャルメディアでのフォロワー数、ワインツーリズムの取り組み、駐車場の整備状況など、本来のワイン造りとは異なる要素を評価対象に組み込むようになり、それらを重視していること、その結果、生産者の時間・資金・労力面における負担が増大していることに対する生産者による不満の表れと言えます。
また、生産者や消費者の価値観が多様化する中で、格付けを、如何に公平に、正確に定めるのが困難かということを示しています。
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