マルサネ (Marsannay)
村名格付けとロゼワイン
アペラシオンとして認定されたのは、1987年とわりと最近のことで、赤・白ワインに加え、ユニークなことに、ロゼワインが認定されています。
マルサネのロゼは、1919年にジョセフ・クレールが初めて造りました。
ジョセフの孫、ブルーノ・クレールによると「当時経済的に困っていたので、彼は何か真新しいことを始めたいと考えた。そしてそれは、とても良い結果を生んだ、多分良すぎた。というのは、その後何年間も、多くの人がマルサネにはロゼしかないと考えるようになったから。」と言います。
村名格付けへの昇格、主な区画
しかしながら、マルサネの生産者たちは、自分たちの造るワインの品質に自信と誇りを持っており、ラベルに「ブルゴーニュ・ド・マルサネ」と地区名を入れ始めます。
1970年代から村名格付けに参入する運動を開始し、紆余曲折を経て、1987年にようやく村名格付けに格上げされました。
著名なワイン評論家のヒュー・ジョンソン氏は、「マルサネの村名呼称ワインには、とても美味しいワインが多い。」と評価し、ワインの高い品質と値ごろ感が評価されている産地です。
とりわけ、マルサネ村の北部にあるクロ・デュ・ロワ、ロンジュロワ、ウズロワのぶどう畑には優れた生産者が集結しています。
これらのぶどう畑の中心部にある「グラス・テッドとかサン・ジャックといった区画畑名の付いたワインは探し出す価値がある。」(ヒュー・ジョンソン)と言われています。
マルサネは、赤・白・ロゼのワインが生産されますが、とりわけ赤ワインが秀逸であり、生産量も赤ワインが80%程度を占めています。
ワインの特徴、傑出した生産者
赤ワインは、コート・ド・ニュイに典型的な、赤く深い色調、赤い果実やカシスなどの繊細な香り、力強いアタックと滑らかなタンニン、厚みのある後味と余韻が調和し、若いうちから楽しめるワインです。
白ワインは、淡い金色、柑橘系果実と白い花のアロマ、ミネラルを伴い、しなやかで円く豊満なワイン、ロゼワインは、赤い果実の香りを伴い、優しく柔らかでフルーティ、豊かで溌溂としたワインです。
マルサネの生産者としては、ブルーノ・クレール (Bruno Clair)、フージュレイ・ド・ボークレール (Fougeray de Beauclair)、オリヴィエ・ギュイヨ (Olivier Guyot)、シルヴァン・パタイユ (Sylvain Pataille) などの評価が高いです。
ワイン評論家ヒュー・ジョンソン氏は、マルサネの主要生産者について、次のように評価しています。
ブルーノ・クレール (Bruno Clair)
「ここは少しずつであるが常に改良を加えているドメーヌだ。私はこのドメーヌを、コート・ド・ニュイの中でも屈指の偉大なドメーヌと考えている。」
フージュレイ・ド・ボークレール (Fougeray de Beauclair)
「このドメーヌの最上のマルサネは、文句なしにクロ・マリオンである。それは美味しく飲みやすいワインで、純粋な赤果実の甘さが秀逸だ。」
オリヴィエ・ギュイヨ (Olivier Guyot)
「優しい発酵にもかかわらず、濃厚で感動的で、そしてしなやかなワインを造り出す。マルサネの人でさえ、そのワインを称賛する。」
シルヴァン・パタイユ (Sylvain Pataille)
「その豊かさに困惑する。シルヴァンは、マルサネ村にプルミエ・クリュの格付けをもたらすことを強く主張できる一連のワインを造り出している。」