シャトー・パルメ (Ch. Palmer)

シャトー・パルメは、第 3 級格付けながら、限りなく第 1 級格付けに近い市場評価を得ている傑出したシャトー、ボルドーの最も偉大なワインを生み出している生産者のひとり。

シャトー・パルメ (Ch. Palmer) は、ボルドー・メドックの格付け第 3 級に位置付けられているものの実際には、限りなく第 1 級格付けに近いシャトーと言われています。

例えば、「ワインは、一級と二級シャトーの間の価格で売られており、それは、ボルドーのワイン商や海外の輸入業者、世界中の消費者がこのワインに高い敬意を払っている証拠である。」 (R. パーカー氏) と評価されています。
そして、「ワイン愛好家にとってそれ以上に大切なのは、このシャトーがボルドーの最も偉大なワインを生み出していることである。」 (R. パーカー氏) と言われ、世界各国のワイン愛好家から称賛される素晴らしいワインを生み出す傑出したシャトーです。

シャトー・パルメのワインについて、R. パーカー氏は、「ワインのスタイルは、センセーショナルな芳香とブーケによって特徴づけられる。ブラインド・テイスティングで常に感じるのは、パルメの偉大なヴィンテージは、匂いだけでそれとわかる場合がしばしばあるということ。偉大なポムロールの外向的な果実味の豊かなブーケだけでなく、マルゴーの複雑性と個性をも備えている。舌触りはリッチで、しなやかでみずみずしいこともしばしばあるが、深みある果実味と凝縮感はいつも変わらない。」と語ります。

そして、シャトー・パルメの評価について、R. パーカー氏は、「パルメのワインは、どの一級シャトーにも劣らない深遠なワインになり得る。2002 年、2001 年、2000 年、1999 年、1998 年、1996 年、1995 年、1989 年、1983 年、1970 年、1967 年、1966 年、1961 年のヴィンテージでは、多くの一級シャトーを凌ぐ場合さえある。」と称賛しています。

また、シャトー・パルメのワインについて、ヒュー・ジョンソン氏は、「シャトー・パルメの真髄は、その芳醇さと、素晴らしくきめの細かいタンニンに由来する触感の質である。」と言い、「緻密で、肉感的なそのワインは、早飲みするのにも向いているが、パルメは元来長熟用として造られており、時間と共に味わいが深まる。上品で、香りが豊かで、新鮮で、バランスが良く、若い活力に満ちあふれている。」と熟成したシャトー・パルメの魅力を説明します。

シャトー・パルメのワインを特徴づけている要素の一つとして、メルローの比率が高いことが挙げられます。
ぶどうの栽培面積のうち、47 % がメルローで占められ、同率で、カベルネ・ソーヴィニヨンが栽培され、残りは、プティ・ヴェルドーが栽培されています。

シャトー・パルメの主力ぶどう畑がある「パルメ台地」は、シャトー・マルゴーのすぐ南にあり、砂利と砂の土壌で、地表から 40 〜 50 cm 下には粘土層が横たわっています。
支配人のトーマス・デュロー (Thomas Duroux) 氏は、「これは、パルメ独特の土壌で、ワインの、特にメルローの、奥深さとフィネスの一要因になっている。」と説明しています。
パルメ台地は、シャトー・パルメが所有するぶどう畑の 50 〜 60 % を占め、シャトー・パルメの中核をなし、傑出したメルローを生み出しています。
シャトー・パルメは、2007 年以降、各区画について、徹底した土壌調査に基づいて、きめ細かく区分し、対伝染病耐性、土質形状、地力、さらに窒素や水分の含有率などを調査し、個々の小区画に合わせたきめ細かな管理が行われるようになりました。

さらに、R. パーカー氏は、素晴らしいメルローの品質とメルローの割合が高いことについて、「メルローの比率が非常に高い。これが、ポムロールのような豊かさ、しなやかさ、そして気前のよい、肉づきの良い特徴をもたらしているのは間違いない。」と評価しつつ、「ただし、人の心をつかんで離さないあの芳香は、マルゴーの真髄である。パルメは、マセレーションの期間、つまり、ぶどうの果皮を果汁に浸しておく期間が最も長いワインのひとつである。パルメのほとんどのヴィンテージに見いだされる豊かな色や卓越したエキス分、あふれんばかりのタンニンが見られるのはこのためだ。最後に、パルメは、その所有者が、ワインのろ過処理に頑として反対しているシャトーである。」と分析しています。

シャトー・パルメの名前が広まり、評価が高まったのは、1814 年から 1853 年まで所有していたパルメ将軍の時代です。
パルメ将軍が所有していた時代のぶどう畑は、カントナック台地とマルゴー村の南にあるボストンと呼ばれる小区画であり、現在の主力であるパルメ台地のぶどう畑は所有していませんでした。
1853 年に銀行家のベレール家に買収され、1855 年にメドックの格付けにて、第 3 級に位置付けられました。

2004 年から支配人を務めるトーマス・デュロー氏は、1855 年格付けで、第 3 級以上に認定されなかったことについて、「現在のパルメの中核は、邸館の裏手に広がる『パルメ台地』にある。しかし、1855 年当時、それはパルメのものではなかった。」と説明しています。

シャトー・パルメは、1938 年以降、ボルドーのネゴシアンであり英国のシシェル家、オランダのマーレー・ベス家、ボルドーのジステネ・ミアール家が共同所有しています。
彼らのもとで、シャトー・パルメの評価は大幅に改善し、1950 年代から 1970 年代にかけて、シャトー・パルメの評価は、シャトー・マルゴー (Chateau Margaux) を凌ぐものでした。

1978 年ヴィンテージを境に、シャトー・マルゴーが復活したことにより、AC マルゴーの序列で、シャトー・マルゴーに首位の座を譲ったものの、「パルメの最近の出来栄えには、一級シャトーへの野望が表れている。1990 年代後半に実施されたセラーの大幅な改造とセカンド・ワインの導入は、いずれも、パルメがより偉大なワインを生み出す結果につながった。」 (R. パーカー氏) と評価されています。

2004 年から、イタリアのテヌータ・デル・オルネッライヤにて醸造長を務めた、トーマス・デュロー氏がシャトー・パルメの支配人を務めるようになり、シャトー・パルメは、近年、評価を更に高めています。
トーマス・デュロー氏は、200 kl のステンレス・タンクを用いて、小区画ごとの醸造を行い、圧搾ワインの質を高めるため垂直圧搾機を導入し、超最新型の除梗機を備えた搬入システムの運用を開始し、2009 年に導入したタンクには、タンク内部でルモンタージュ (果液循環) の調整機能を備えたものとし、急速な技術進歩を背景に、より精緻なワイン造りを推進し、生産されるワインの評価は、更に高まっています。

また、トーマス・デュロー氏は、ボルドーの古代品種であるミュスカデルとソーヴィニヨン・グリを用いた少量の「パルメ・ブラン」、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンに、10 % ほどシラーを混ぜた「ヒストリカル 19 センチュリー・ブレンド」を生産、ボルドーの格付けには入らないワインですが、こだわり抜いて造った稀少な逸品として、極めて高い市場評価が付けられています。

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シャトー・パルメ　2019年　【フランス赤】

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